
日本の自立生活運動、障害者政策をけん引してきた筆者による、
1980年~2010年代の障害者運動の総括。民主党政権下で行われた当
事者主体の障害者制度革命は、財政難を主張する厚生官僚の壁を打ち
破れなかった。「障害者問題」という少数者の特殊な問題をどうする
かというアプローチでは、一般社会にアピールしないし、大衆サービ
スに昇華して行かない。本書は、これまでの運動の成果をどう後の世
代に引き継ぎ、広範な市民運動として今後をどう展望するのかの戦略
本です。


「当事者になる」ことは、自らニーズの主体となり、社会
がそれを満たす責任を要求する申し立て活動と不可分である。
いまだ存在していないニーズを生成し、顕在化させるプロセス
は、どういう社会がのぞましいか、という社会構想力をともな
う創造的な過程である。それには、規範的、政治的な選択が関
わってくる。「ニーズ中心」という本書の立場は、そのための
理論的基礎を提供することを目的としている。

